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東京生まれ, ラップトップ育ち

あるラッパーの、システムエンジニア・ブログ

Skills(4)

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Skills(4)

「全員、就職決まってよかったよね」
2回目の乾杯の後、M弓が店員からゴーヤのチャンプルー的なものを受け取りながらみなに言った。
「ソレニシテモ、オレタチのゼミカラ、スッチーガフタリモデルッテ、マジスゲェヨ」
「結局、金融パートの奴らはほとんど、銀行だったな。」
「あと多いのは、やっぱ商社か。」
「変わり種でひとり官僚もいるな。」
二次会に参加した面々8名ほどで、卒業後のみんなの進路について語り合っていた。
「しかし、我らがゼミ代がシステムエンジニアになるとはなぁ。」
「コンピューター素人のくせにな。」
「そこそこ、うるさいよ。」
そうなのだ。
僕は、今度の春からシステムインテグレーターの企業に就職することが決まっていた。どうしてもシステムエンジニアになりたかった僕は、この夜もひとり得意の絶頂にいた。

スキルを身につけ、手に職を。
それが僕のキャリアプランで、システムエンジニアこそがこれからの時代に最も必要とされる技術職だと信じた上の帰着点だった。

南国にいるという開放感からなのか、それともそれが泡盛だからなのか。
酒が進むうち、なんだか場が荒れてきた。
最初はほんの冗談という感じだったが、次第にそれぞれの進路のネガティブな側面を言い合う形になってきたのだ。

商社マンと銀行マン、どちらが上か。そんな、今思えば他愛のない話だった。商社なんて響きはいいけどどこに飛ばされるかわかったもんじゃない、とか、銀行なんて寮に鮨詰めにされて給料を引き出すことも出来ない、とか。
システムエンジニアという仕事にある意味心酔しきっていた僕は、そんな話を聞いていて、苛立ちを抑えられなかった。

つまり、その商社マンと銀行マンの戦いに、システムエンジニアとして割り込んでしまったのだ。

「俺はスキルしか売らない。だけどお前らは、忠誠心を売って金をもらうんだ!」

その後に何を言ったのかは、もう思い出せない。

一つ確かなことは、この夜、僕は銀行マンと商社マンを敵に回したということだ。
外資系銀行に就職するM弓も含めて。

(結びへ続く)
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プロフィール

HN:
G☆40(ジー・フォーティ)
性別:
男性
職業:
システムエンジニア
自己紹介:
タイトにデバッギン、そんなエビデイ

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