M弓は僕の問いかけを無視して、女友達の座るテーブルの方へ行ってしまった。
「ちぇっ、なんだってんだよ。」
二日酔いの不快感も手伝って、僕は軽く舌打ちをした。
ちょうどその時、僕と同じく四年のタクが俺の前を通り過ぎようとしたので、声をかけてみた。
「なぁ、タク・・・」
「アア、ナンダーヨ?」
ゼミの中じゃ一番仲のいい男だけに、予想と違う冷たい反応を返されて僕はすこし動揺した。
「いや、俺さ、昨夜なにか変なことしたっけ?」
一瞬の沈黙の後、タクはため息とともに言った。
「ソンナコトモ?ナンデワスレテシマウデスカ、アーナタワァ」
明らかな侮蔑の気持ちが、そう言うタクの瞳に灯っているのを感じた。
一体昨夜、僕は何をしたというのか。
(続く)